便と水分と便秘の関係

便秘の原因と呼ばれるものには、食生活や生活習慣、ストレスなど数多くありますが、最もシンプルな原因だといえるのが、水分不足といわれております。人間の体の60%が水分でできていることからもわかるように、水は生物が生きていくために必要不可欠なものです。こと排便に関しても、水の役割は非常に重大なのです。

◆消化から排出までの流れ

口から摂取された食物は胃と小腸で消化・吸収し、その残りが大腸に運ばれます。

大腸に到達した食物の残りは、最初は水分を多く含んだ液体状です。その後、腸管を通るうちに腸壁から水分を吸収されて、直腸に到達するまでの間に固形物として形が整います。

健康な状態であれば、このまま排便がなされることになります。

◆水分不足の影響

水分の80%は小腸で吸収され、大腸では残り20%の水分のほとんどが吸収されます。

体内の水分が不足すると、身体は体外に排出する水分を減らそうとするため、便の水分は少なくなり、硬くなってしまいます。そうすると、肛門から出る際に排便しにくくなり、便秘になりやすくなります。

さらに、便秘になると、腸内に残された便はますます水分を奪われ、よりいっそう硬くなり、更に排便が困難になります。

水分不足が便にもたらす影響はもうひとつあります。

便の中には、消化されないまま残っている成分も入っています。その代表格が、便秘対策としてよく知られる食物繊維です。

便の水分が多いと、食物繊維はその水分を吸って大きく膨れます。つまり、便のカサが大きくなり、腸が刺激されて蠕動(ぜんどう)運動が活発になるので、スムーズな排便が可能となります。

逆に、水分が少なければ、便のカサが小さくなってしまい、便秘の原因となります。

~水分不足の原因~

水分不足になる理由は様々ですが、以下に代表的な要因をご紹介します。

(1)ダイエットの影響

ダイエットのために食事制限をしている人も少なくないでしょう。

しかし、食事を減らすと、カロリーだけではなく、食事に含まれる水分の摂取量も減ってしまうことになります。

実は食べ物には、多くの水分が含まれており、人間は食べ物から多くの水分を補給しています。そのため、食事を減らした分の水分を意識的に摂取しないと、水分不足になってしまいます。

(2)むくみ・水太りに対する不安

「水分を大量に摂取すると体がむくみやすくなる」と思い、水分補給を少なめにしているという人もいるかと思います。しかし、腎臓が健全であれば、不要な水分は体外へ排泄されるので、水分の摂りすぎが原因でむくむことはありません。

(3)気づかない・喉が渇かない

寒いと喉の渇きを感じにくく、水分摂取量が減少してしまいがちです。しかし、人間の身体では常に発汗(不感蒸発)が起きており、水分は失われています。また、高齢者になると、水分を摂っていなくても喉の渇きを感じにくくなります。これは代謝量が減ったためですが、それでも水分は必要です。

喉が渇いていなくても定期的に水分補給をするようにするのが、便秘を防ぐポイントです。

また、朝起きたあとに水を飲むことも大切です。喉が渇いた感覚がなくても、人は眠っている間に大量の汗をかいているので、最低でも失った分の水分を補給するようにしましょう。