「日本の多機能トイレ」と「歴代便器の博物館」

2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、訪日外国人旅行者「2000万人達成」の目標を掲げる日本政府観光局(JNTO)によると、14年に日本を訪れた外国人観光客は1341万人を超え、2年連続で過去最高を更新しました。

そして、外国人が観光のかたわら「アッ!」と驚く日本文化に、自動販売機やカラオケボックス、カプセルホテルなどが挙げられますが、なかでもカルチャーショックを受けるのが日本の多機能トイレなのだそうです。

1980年、TOTOが温水便座の初号機を発売してから、ノズル洗浄機能、脱臭機能、リモコン機能、便座と蓋の自動開閉機能など、技術の進化に伴い、日本のトイレ市場は拡大の一途をたどってきました。そうした視点であらためてトイレの中を見まわしてみると、あの狭い空間は、日本の最新技術と日本のおもてなし精神がコラボレーションした、最も日本らしいスペースといっても過言ではありません。

この度、TOTO(北九州市)の本社敷地内につくった博物館「TOTOミュージアム」が24日、報道関係者に公開されました。かつて生産した便器や浴槽といった住設製品など約950点を一堂に並べられ、また最新製品を展示するショールームもあるそうです。28日から一般公開されるとのこと。入場は無料。目玉となる展示は、1964年の東京五輪に合わせて開発し、ホテルニューオータニで採用された日本初のユニットバス。ホテル内の通信関係の作業場として使われていた部屋で、1室分だけ残されていたことがわかり、分解して移設したとのこと。

このほか、日本一高かった「霞が関ビルディング」や旧総理大臣官邸など、歴史的な施設で使われていた便器も展示する。同社が開発した温水洗浄便座「ウォシュレット」も歴代モデルがあるそうです。

かつて、アーティストのマドンナが来日した際、「日本に来たことを実感した瞬間は?」との質問に、「温かいシートが恋しかったわ」と答えたのは有名なエピソードです。以来、俳優のレオナルド・ディカプリオやウィル・スミスなども、TOTOの最高級ウォシュレットを絶賛。日本からトイレを持ち帰り、自宅に設置するほどの惚れ込みようだったといいます。

日本人の私たちにとっては、当たり前のトイレ機能も、外国人には驚きの連続のようです。

日本の便器は、世界中でも有名です。毎日利用するからこそ、快適に過ごしてほしい……。
日本人ならではのきめこまやかさは、意外にもトイレから発信されているケースも多いようなので、私たちも駅や公園、サービスエリア、テーマパーク、百貨店などの公共トイレを使用する際は、日本人として誇りを胸に、ぜひキレイに使いたいものですね。